中部商品取引所商品取引所での鉄スクラップ上場が認可された。いまや「鉄くず」という言葉は死語のようだ。ガソリンや灯油に続く中部商品取引所の屋台骨となれるかどうか、とにかくお手並み拝見としよう。
記念すべき新規上場に水を差すわけではないが、あえて言おう。一般投資家を呼び込む努力を忘れるなと。
中部商品取引所商品取引所は鉄スクラップのパンフレットにおいて「鉄スクラップは日本を支える基幹商品です」としたうえで、4つの特徴を記載している。しかし、なぜ?という大事な部分が欠落しているのである。なぜ鉄スクラップが「宝の山」なのか、なぜ鉄スクラップが「環境改善」に役立つのか、なぜ鉄スクラップの「リスクヘッジ」が必要なのか、それがすべてあいまいである。
商品取引の魅力は自分達の生活に密着した商品が上場されていることである。そしてその当たり前とも思っているものなどが、先物市場あればこそであるということを認識させることができれば、商品先物にとってこれ以上のアピールはない。東証一部の大企業が倒産したところで、自分達の生活の影響などほとんどないであろう。しかし、もし商品市場の上場商品が廃止されれば自分達の生活に甚大な影響が出る可能性があることを世間広く認知させることができれば、市場へ参加してみようと思う人は確実に多くなるだろう。
事業者の価格変動のリスクを一般投資家に転嫁することで、(少なくとも日本の)商品先物市場が成り立っていることを忘れてはならない。何度も言おう。日本の商品先物市場参加者のほとんどは個人である一般投資家である。市場参加者が少なくてはリスクヘッジや公正な価格機能などを発揮できる場面はない。
次の上場商品は「使用済みペットボトルか?」などと勝手な予想をしてみたりする。けして的外れで、勝手な推測などではなく、市場規模としてはペットボトルのほうが圧倒的に多いだろう。どちらも中国の影響が大きく、国内で産出(?)されたスクラップやペットボトルは中国へと輸出されるものがほとんどであると聞く。あくまで外野の意見だが、上場商品としては「使用済みペットボトル」のほうが適しているだろう。
蛇足であるが、個人的な意見をもうひとつ言わせてもらえば米の上場を急いでほしい。この件については、機会があればあらためて書くことにしたい。
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