改正金融先物取引法の施行から半年が経ち、FX取引は金融庁へ登録された業者だけで行われるようになった。一般投資家にとって、FX取引を行うに当たり、最低限のセーフティーネットが確保できたという点では喜ばしいことである。
最終的には200弱の企業に登録が許可されるようだが、拡大しつつはあるものの、現在のFX取引の市場規模を考えると(すべての企業が個人向けの営業を行うとは限らないとしても)かなり多い数であるというのが正直な感想である。ここから本当の意味での競争が始まることを期待する。前述のように200という企業数は現在の市場規模を考えると明らかに過大である。
FX取引においては完全な反響営業しか行えないため、従来のような「体力勝負」の営業活動を行うことはできない。そういった状況の中で200社の中で埋没せずに自社の商品をアピールするのは並大抵のことではない。まして扱う商品はハイリスクな金融商品である。今現在は手数料による差別化が目に付く状態であるが、当然のように手数料収益の低下は企業利益に直接作用する。株式取引のように手数料が限りなくゼロに近いような状況になってしまうのであれば、立ち行かなくなる企業も出てくるかもしれない。
当社で関係先に毎月送付しているマンスリーレポートには既に記したが、今後FX取引においては大手による寡占化が進行していくはずである。何もしなければその中に埋没していくだけである。
企業の目的は利益を上げることである。しかしながらそのほとんどが相対取引であるFX取引においては取引は原則「企業の利益は顧客の損失」「顧客の利益は企業の損失」というゼロサムゲームである。そして、ゼロサムゲームだからこそ、顧客本位の商品を提供することが大事になってくるのではないかと考える。最終的に顧客側が満足して(納得して)手数料なりを支払えるかということである。
メール相談等で私たちに寄せられる声を見ると、一般投資家がFX取引やFX業界に対し非常に厳しい目を有していることに驚かされる。取引そのものももちろんであるが、特にFX取引を実施する企業に対しては「疑心暗鬼」ともいえる非常に厳しい目を有している。そういった中では小手先のものは通用しない。決して大げさではなく、企業としての信頼性が大事になってくる。
改正法はスタートでしかない。ここからが本格的な競争の始まりである。何度も述べているが、FX取引に限らず、顧客を軽んじる企業に未来はない。
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