前回の続きとなるが、商品取引・FX取引における「商品力」というものをもう一度考えてみたい。前回は主に手数料という側面から「商品力」を考えたが、もう一つ忘れてならない重要な要素がある。それは人力の面である。

商品取引員を中心とした業界の離職率が改善している。従来は新卒で入社した人材の定着率が10%とも、5%とも言われていた業界であるが、近年その離職率に、会社ごとのばらつきはあるが、大幅な改善傾向が見られるのである。従来であれば50人、100人単位での採用も見られたが、最近は10人前後の会社も多く見られるようになった。

もちろん全部が全部とは言わないが、人材育成という面を放棄していた取引員があるのも事実である。中途採用も含め、大量募集・大量離職を繰り返すことのおろかさにようやく気づき始めたのである。もちろんこれらは業界全体のイメージにも影響するが、それ以上に企業として多くの資金を必要とするものである。景気が回復しつつある状況の今日では、就職情報誌に広告を掲載「し続ける」資金は膨大なものとなってくる。

商品取引員やFX取引企業に限らず、企業にとって最も重要な一部分が人材育成であることは言うまでもない。そういった意味では離職率の改善は非常に喜ばしいことである。そしてこの積み重ねが、人材という大きな商品力の差になるであることは想像に難くない。これは手数料に関することと同じであって、「この営業さんに任せてみよう」と思ってもらえる営業が理想である。野村證券の「転勤なし営業」に象徴されるように、近年は個人投資家向け業務においても「人的つながり」を重視する傾向にあるようである。

さて、4月は新卒社員の入社時期である。どれほどの新卒社員が読んでいるかわからないが、最後に私からのメッセージを述べてみたい。