先日とあるFX取引企業が金融庁への申請を取り下げ自主廃業を決定した。個人的にこの「とある会社」は非常に印象に残っていた会社であった。TRADER-Japanを開設して間もなくの頃、この会社に関して、ある相談メールを受け取ったたからである。

そのメールの差出人は30代の女性であった。相談内容は極めて基本的なもので「この会社は信用できるか？」といったものであった。こういった質問に関しては「何をもって信用できるか？」が問題であるので、自分でホームページ調べるなり、電話で疑問点なりを聞いてください、といった返答をしたはずである。そうすると5分もたたずに返信があった。「実はこれから営業の男性と会う約束になっている」というのである。なので、心構えのようなものを教えてくれとのことであった。

彼女はこの後強烈な十数時間を過ごすことになる。

営業の男性と会う約束は14時。二人はマンガ喫茶で話をし始めた。そしてその後、彼女は翌朝5時まで取引を開始するよう「説得」を受けた。明け方その説得に負け、彼女は取引証拠金105万で取引を開始する旨を営業に伝え、ようやく解放される。ご丁寧に営業マンはそのマンガ喫茶でインターネットバンキングから会社の口座へ入金手続きまで行わせていた。そして彼は始発の新幹線で帰ったそうである。

営業マンと別れ一人になった彼女は冷静になり、証拠金の振込みを中止した。そしてその数時間後に上記のような、営業マンとのやり取りを詳細に記載した報告とお礼のメールをもらった。

そして数ヵ月後、この「とある会社」は自主廃業を選択した。自主廃業を選択する前、昨年末には金融庁による業務停止処分も受けていた。処分理由は不招致勧誘である。そしてその影響もあり、資金繰りの悪化から廃業を選択・・・。

しかしながら、私に言わせればこの会社の廃業は必然である。

「悪が栄えたためしなどない」というのは古めかしい言い方であるが、このようなことを繰り返す会社が生き残ることはないであろう。