トップページでも告知しているが、当社では国内のFX取引市場に関する調査を行った。FX取引はその成長速度に若干の足踏み感は見られるものの、依然として拡大を続けている。対し商品先物取引はどうか？数年来委託者10万人の壁を突破できないどころか、市場には縮小感さえ漂い始めている。

前置きが長くなってしまいそうなので、本題に入りたいが、商品先物取引市場拡大のために以下の提言を行いたい。

１．取引単位の引き下げ

まずは取引単位の引き下げを提言したい。そして、貴金属製品であれば、受け渡し単位の引き下げも考えるべきである。

現在の金の証拠金は90,000円である。（2006/12/5）価格が2,450円前後であるから、丸代金は2,450,000円。倍率は27倍程度である。取引所為替証拠金取引である「くりっく365」の倍率は40-50倍であるから、過度のリスクや、ハイリスク･ハイリターンという商品設計（商品性質）自体が問題ではないということがわかる。問題は他の部分にあるのだ。

大きく違うのは証拠金額である。もっともポピュラーであると思われるUSドルは多くの取引員で、1枚4万円での取引が可能である。もちろん金と通貨という商品自体の根本的な違いということも関係しているだろう。しかしながら、今まで何度か述べているように、取引への垣根は低く設定すべきである。

現在の日本の商品取引は「投機」であり「投資」ではないのが現実である。ご存知のようにそのほとんどが反対売買により多くは数ヶ月で取引から離脱していく。もちろんこれはこれで先物取引の魅力とも言える特徴であるが、取引規模を拡大しようという考えでは、この特徴を生かしつつ、他の考え方を取り入れるべきである。投機色を薄め、投資色を反映させるべきなのだ。

そのためには受け渡し単位の引き下げが必要である。金の場合は、仮に現受けをする場合においても、1kgのバーでなく、コインでよいのではないだろうか？そのすべてが999でないにしても、世界的に認められているコインは数多くある。標準品の設定を慎重に行えば対処できると思われる。また、引き下げによる取引枚数の増加は、取引員にも手数料収入の増加をもたらすものと考えられる。

あくまで個人的な意見として、証拠金3万円程度、受け渡しの現物が200-300グラムのコインであれば、従来の商品先物取引の特徴を生かしつつ、新たな個人投資家の掘り起こしも期待できるのではないだろうか？

この方法を行えるのは金・プラチナなどの貴金属に限られるものである。しかしながら、この取引を足がかりに、その他の石油製品や、農産物取引へ誘導する方法も充分ありなのではないだろうかと考える。

２．追証の廃止

前述のようにその多くは数ヶ月以内に反対売買により取引から離脱していく。現状においては、現受けを希望する取引参加者はガソリンや金を除き、あまりいないと思われる。（受け渡しが最も多い金の2006年10月限の受け渡しは3,827枚）多くの参加者はいずれ反対売買で決済するのだ。であるとすれば、言葉は悪いかもしれないが、その建玉を保持し続ける必要はないのである。

関係者にとっては「言うまでもなく」という事項であるが、取引を知らない、もしくは不慣れな投資家の「勘違い」として、追証は絶対に払わなければいけないものではない。現状でも払わなければ決済される。

ならばロスカットのルールを適用すればよい。

FX取引の世界において、一般投資家が取引企業を選択する際に、その企業がロスカットを採用しているか否かをチェックするのは、基本中の基本ともいえる事項である。一般投資家の損失を拡大させないためには、ロスカットは絶対ともいえるほど必要なのだ。

もしこのルールを適用することにより、困る取引員があるとすれば、それは顧客の建て玉すべてに向かい玉を建てている取引員だけである。いうまでもなく、このような不誠実な企業を保護する必要性は全くない。

以前とある弁護士に商品取引被害に関する話を聞いた。取引員に言われるがままに追証を積み続け大損害を被ったというのである。

このようなこと以外にも、追証は現在の商品先物取引においては、そのデメリットが目立つようになった。もっというのであれば、追証はいくら積まれても、その歩合が外務員に入る取引員はあまりない。であるとすれば、わかりにくい追証のルールを廃止して、ロスカットのルールへ変更すればよいのではないだろうか？

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今回記したのは、あくまで当社の考える「一説」である。実際に顧客と向かい合っている取引員や、専門家などからすれば、単なる「妄想」に思えるかもしれない。

当社としてはそれでもかまわない。わかっていただきたいのは、日本の商品先物取引の今後について、考えをめぐらせている企業が「ここにある」ということである。