川瀬さんがFX取引を開始する際に頭を悩ませたことは、取引業者の選択のほかにも、知らない専門用語がいろいろあることでした。川瀬さんの休日から、その専門用語の意味を見ていきましょう。
会社の休みになると、中流を自負する川瀬さんは近所の100円ショップに奥さんとよく出かけます。役割はもちろん奥さんの送り迎えと荷物持ちです。近所にある大型100円ショップに足を踏み入れるたび川瀬さんはいつも感心します。「すごいなぁ。何でも100円だ・・・。」
普段は気に留めたこともないと思いますが、なぜ100円ショップは何でも100円なのでしょうか?(最近は99円ショップなどというのも存在しますが・・・)
答えは単純明快で100円で売ったとしても利益が出るからです。資本主義経済の基本は(利益を上げるためには)「安く買って(仕入れて)高く売る」もしくは「先に高く売っておいて後から安く買う(仕入れる)」というものになります。これはFX取引においても同じことです。
そこでもうひとつ進んで考えます。2つの100円ショップAとBがあったとします、原価10円のものばかりを扱うA店と、原価99.8円のものを扱うB店ではどちらが「消費者に親切」であるといえるでしょうか?
答えはもちろんB店です。仕入値と売値の差が小さければ小さいほど、店の利益は少なくなるため利益を消費者に還元しているといえるからです。ご存知のとおり大手の100円ショップでは一度に数万から数十万という大量の発注をすることによって原価を抑え、さまざまな製品を100円で販売しても利益が出る仕組みを作っています。(逆に考えるならばA店は10円のものを100円で売っているボッタクリ店でもあります。)
この買値(仕入値)と売値の差が「スプレッド」といわれるものです。通常はFX企業が提示する売値が115円であったならば、買値は113円というように、売値のほうが高いのが通常です。(もちろん為替の局面により逆の場合もあります。また実際の差額は通常0.05円程度です。)
さきほどのA店とB点の例をFX取引にあてはめて見ましょう。A店は1ドルの売値が120円、買値が110円で、B店は売値が117円で買値が115円だったとします。Aのスプレッドは10円、Bのスプレッドは2円です。どちらが投資者に親切でしょうか?もちろんB店です。
もっと具体的に見てみましょう。ドルを買って円を売る取引を考えます。スプレッドが変わらないとするならば、A店ではドルを買った時より10円以上円安が進まない限り利益は出ません。対しB店では2円円安になれば利益が出ます。基本的にスプレッドが狭いほど投資者(顧客)に有利であるということができます。
川瀬さんはFX取引業者を選択しているときに「売値115円、買値115円」というFX取引業者があるのを発見しました。通常ならば「これ以上ないくらい親切だ!」と思いたいところですが、「石橋を叩いて壊すほど」慎重な人生を歩んできた川瀬さんはそういった考えは持ちませんでした。「なにかカラクリがあるはずだ・・・」
その通りです。川瀬さんはそのときスプレッドとともに手数料もまた重要なキーになっていることを発見したのです。
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