スプレッドが「0」(売値と買値が同じ)の会社を発見した川瀬さんはすぐに気づきました。
「手数料が高いんだったら意味ないよな・・・」
その通りです。その昔に外貨預金で「手数料による元本割れ」を経験していた川瀬さんはきちんと学習していました。
トラベラーズチェックの購入や株式の取引の際に手数料がかかるように、FX取引を行う場合においても手数料が発生します。スプレッド同様に手数料も重要なポイントになります。
計算すればすぐにわかりますが、大事なことはスプレッドと手数料の兼ね合いです。どんなにスプレッドが狭くても手数料が高額であったなら意味がありませんし、同じようにどんなに手数料が安い場合でもスプレッドが大きい場合には双方が打ち消しあい、プラスマイナスゼロどころか、必ずマイナスになります。
具体的に見ていきましょう。資産運用の際にはご自信の取引スタイルにあったものを選ぶ必要があります。
その前に・・・
為替レートの見方
USD/JPY 115.00-115.05
・・・意味がわかりません。
ニュースなどでよく見られるこの表示は「銀行の提示額」と考えてください。
つまり、この表示の場合は、銀行側が1ドルを「115.00円で買いたい&115.05円で売りたい」と提示しているのです。(スプレッドは0.05円ですね。)
銀行側の提示ですので、私たちからは逆に見ることになります。つまり「1ドル買うには115.05円必要&1ドルは115.00円で売れる」ということです。
(売値と買値が同時に表示されることから「Two-way」と呼ばれます。)
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実際に計算していきます。
片道?往復?・・・切符ですか?
FX取引企業では手数料に関して「片道」「往復」といった表現を使用します。
売り・買いのどちらか一方の手数料が「片道」です。通常は「売ったら買う」「買ったら売る」と、いつかはこの「片道」がセットになりますので、売り・買いの手数料の合計が「往復」となります。
株券の取引と同じですね。
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アメリカドル3万通貨の取引で、1ドルのレートが115.00円が115.50円になった場合を見てみます。
まずは
スプレッドが0.03円で手数料が1万ドルあたり往復2,500円の会社と比較してみましょう。
往復手数料500円の場合
スプレッド0.05円・手数料500円
115.00-115.05
↓
115.50-115.55
30,000×0.45=13,500-1,500=12,000
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X社
スプレッド0.03円・手数料2,500円
115.00-115.03
↓
115.50-115.53
30,000×0.47=14,700-7,500=7,200
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結構な差になりましたね。
では、手数料が往復1,000円の場合はどうでしょうか?
往復手数料500円の場合
スプレッド0.05円・手数料500円
115.00-115.05
↓
115.50-115.55
30,000×0.45=13,500-1,500=12,000
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Y社
スプレッド0.03円・手数料1,000円
115.00-115.03
↓
115.50-115.53
30,000×0.47=14,700-3,000=11,700
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まだ、手数料が安いほうが有利ですね。それでは無料の場合はどうでしょうか?
確かに手数料は大事ですが、無料の場合はスプレッドが大きい場合がほとんどです。なぜならそうしないと100円ショップと同じで、企業の利益が出ないからです。企業の目的は社会奉仕ではなく、利益を上げることです。
往復手数料500円の場合
スプレッド0.05円・手数料500円
115.00-115.05
↓
115.50-115.55
30,000×0.45=13,500-1,500=12,000
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Z社
スプレッド0.10円・手数料0円
115.00-115.10
↓
115.50-115.60
30,000×0.40=12,000-0=12,000
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同じです。ということは、頻繁に売買をするような場合には手数料無料のメリットもあるといえます。
しかし、冒頭に書いたように大事なことはスプレッドと手数料の兼ね合いです。(会社の取引方針や、サポート体制など、スプレッドや手数料以外にもFX取引を行う場合には考慮しなければならないことが多くあります。)
川瀬さんを悩ませたもうひとつの用語は「スワップ」でした。FX取引独特のこの「スワップ」のシステムを理解することで、川瀬さんはFX取引をする決心を決めました。
「外貨預金とはぜんぜん違うんだな・・・。でもスワップがあるならFX取引をやってみてもいいかな。」
川瀬さんを悩ませ、同時に取引を行う決心をさせたFX取引独特の「スワップ」とはいったい何者でしょうか?
※金額は計算上のもので、FX取引の益金は課税対象です。 前へ← →次へ
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