今回からは穀物について書いていきます。
商品先物取引は穀物からスタートしました。ご存知の通り、多くの穀物は年に一度しか収穫できないからです。堂島の米市場については以前も書きましたが、日本に限らず、アメリカの商品先物市場も穀物取引がそのスタートです。
こういった取引所ができる以前、状況は悲惨ともいえるものでした。事前に値段を決定することができないため、春と秋ではその値段が違うことはもちろん、豊作の年などは、市場からの道の脇に「売れ残り、捨てられた穀物で埋め尽くされていた」というエピソードが多くあるほどです。資本主義経済において、商品先物取引は必要不可欠なものなのです。
ということで、穀物第1弾は「とうもろこし」です。とうもろこしは国際商品の代表格であり、小麦・米とあわせ「世界三大穀物」といわれますが、その中なかでで唯一、日本の商品先物市場にも上場しています。そして、とうもろこしは「家畜の飼料としてその多くが消費される」ことはとうもろこしの説明ページにも記載しました。
とうもろこしは値段も安く、栄養価が豊富なため、家畜を太らせるのに最も適した飼料なのです。そして生育期のハリケーンの状況や、経済発展とともに食肉の需要が急増し、とうもろこしの輸出国から輸入国へと変った中国の動向が重要になってきている・・・、といったことはとうもろこし価格の基本知識になっています。
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最近注目を集めているとうもろこしの使用用途が、自動車燃料としての「エタノール」です。ブラジルが国を挙げてエタノール生産のためにサトウキビの増産を行っていることはニュース等でも頻繁に報道されています。そして自動車の燃料としてガソリンにエタノールを混ぜたものを使用していることは最近では有名な話になってしまいました。
ブラジルが国を挙げてエタノール生産のためにサトウキビの生産に力を入れているのと同様に、アメリカでも化石燃料への依存を減少させるため、とうもろこしからのエタノール生産に本腰を入れはじめています。
エタノールはさまざまな植物から生産することができます。条件は「糖分が多い」もしくは「でんぷんが多い」ことですので、ビート(砂糖大根)や、ジャガイモなどからもエタノールを生産することができます。
そして、これらのエタノールは石油製品から生産するエタノールと区別する意味で「バイオエタノール(バイオマスエタノール)」とも呼ばれます。
(すでにシカゴ商品取引所ではエタノールが上場されています。) |
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ブラジルでは・・・ さとうきび→エタノール
アメリカでは・・・ とうもろこし→エタノール
ただし、若干の問題も出ているようです。とうもろこしの栽培においては大量の水を必要とします。とうもろこしは生育段階で「水を与えれば与えるほど」成長するからです。そのため、アメリカではとうもろこしの栽培が多くなりすぎて、地域によっては地下水が枯渇してしまう現象が問題になっています。
バイオエタノールへの注目度は非常に高く、先日トヨタは日本国内向けを含めた、全てのガソリンエンジンをエタノール混合10%までの燃料(これを「E10燃料」といいます。上の写真にもありますね。)に対応させることを発表しました。→トヨタのニュースリリース
日本でも環境省が2030年までに全てのガソリンエンジンをE10燃料に対応したものにする方針を固めるなど、エタノールの生産を加速させる動きが出ていますが、その原料は主に小麦やビートのようです。 |
とうもろこしが穀物ではなくなる時もやってくるのでしょうか?
次回は「大豆」についてお送りします。
東京とうもろこし取引要綱 |
取引所 |
東京穀物商品取引所 |
標準品 |
USDA規格No.3 |
呼値 |
1トン |
呼値の単位 |
10円 |
取引単位 |
100トン |
受渡単位 |
100トン |
取引方法 |
システム売買方式による板寄せ方式 |
取引時間 |
前場1節:9:00 前場2節:10:00 前場3節:11:00
後場1節:13:00 後場2節:14:00 後場3節:15:00 |
限月 |
12ヶ月以内の奇数月 |
納会日 |
受渡日の属する月の前月15日 |
受渡日 |
受渡月の1日から末日まで |
取引証拠金(先限) |
60,000円 |
値幅制限(先限) |
400円 |
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