さて、実はその3では肝心なものが抜けていました。
先物取引とは「将来価格を決める取引」です。その3ではこの「時間的」な概念を無視していたのです。この時間的な概念こそが商品先物取引の一番の特徴でもあり、魅力でもあります。言い換えれば「将来の適正価格を今決める」ということです。それでは「将来の適正価格を今決める」とはどういうことでしょうか?再び缶コーヒーの例で考えて見ましょう。
例えば世の中に「冷たい缶コーヒー」がなかったとします。そんなことはまずありませんが、ないものと仮定します。世の中には「あつあつの缶コーヒー」しかないのです。商品先物市場では6-12ヶ月先の値段を決めますので、例えば6ヶ月先であれば1月に7月の「あつあつの缶コーヒー」の値段を決めることになります。さて、商品の値段は需要と供給で決まります。「将来の価格を今決め」ますので当然その値段は120円より下がると思います。焼け付くような猛暑の時期に誰が120円出して「あつあつの缶コーヒー」を買うでしょうか?
先物取引の原理はすべてこの缶コーヒーの例と同じです。缶コーヒーだと現実味がありませんが「灯油」の場合はどうでしょうか?灯油はそのほとんどが家庭での暖房用として消費されます。ですので、夏場の価格は冬場よりも安くなります。「今年の冬は寒いらしい」ということになれば将来の値段は確実に上がるはずです。
「ガソリン」はどうでしょうか?これは灯油とは逆で夏場や連休時には値段が上昇します。農作物はどうでしょうか?ほとんどの農作物は1年に一度しか収穫できません。今年のようにアメリカの穀倉地帯にハリケーン直撃などということになれば供給不安から将来の価格は上昇するはずです。
商品先物市場では需給や季節、生産地の政情などによって時間が変わる商品の価格を事前に決めているのです。日本の商品先物市場では一番時期の遅いもので6-12ヶ月先の値段(アメリカでは2年先まで決めるものも!)を決めます。
将来っていつですか?
商品先物取引では「限月」という単位で表します。例えば「2006年12月限」だと、2006年の12月の値段ということになります。新聞では2006/12などのように表示されています。そして一番時期の遠いものを「先限(さきぎり)」といいます。
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しかし、ここである疑問がふつふつとわいてきませんか?
「そんなに値段って変わる?」
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